「ファッションが希望になる」 タエアシダ30周年アニバーサリーショー
世界を舞台に美しさを探求し、創造する日本を代表するラグジュアリーブランドのひとつ「タエアシダ」がデビュー30年を迎え、アニバーサリーショーを東京渋谷の国立代々木競技場 第二体育館で開催しました。BCJスタッフUは、ジュンアシダの人事の方にこの貴重な機会にご招待いただき、有難く出席のお返事を送りました。今回はこの大変素晴らしい体験と「ファッションが希望となる」についてレポートさせていただきます。
開演10分前に会場に入ると、すでに熱気が篭っているようでした。著名人や俳優らに愛されている「タエアシダ」のファンが会場に多く集まっているという理由からだけではなく、この記念すべきショーに携わる全スタッフの熱意から湧いてくるもののように思えました。
1991年のデビューから61回目にあたる本コレクションのテーマは「ノーボーダー」。「今の時代、男性と女性のボーダー(境界)をあえて引く意味は薄い」と語るデザイナーの芦田多恵さんは、2019年からメンズ服のデザインを開始されています。「同じところにあぐらをかいているのはよくない」という志からくる芦田さんのこの挑戦は、SDGsが浸透する時代に呼応する取り組みでもあります。2018年からは、皇室や各国大使に支持された故 父・淳(1930 ~2018年)さんによる「ジュンアシダ」のクリエイティブディレクターとしても活躍されています。いずれのブランドにおいても、日本ラグジュアリーとして、クオリティーの高いモノづくりをしながら、時代の空気を伝える服作りを続けていらっしゃることが分かります。
ジュンアシダの制服を着た入場受付の女性スタッフは、Give Awayを入れたショップバッグを、来場者一人ひとりに丁寧に渡し出迎えてくれました。そして、招待席までは、男性スタッフが温かくエスコートを。席に着くまでの数分間で、「礼儀正しく、良心的に仕事に取り組む人間集団を目指す」という同社の経営理念が、すべての社員に浸透していることが伝わってくるようでした。
会場中央に大きな黒の円形ステージがあり、その周囲に観客用の椅子が置かれています。席の間隔がとってあり、十分な感染対策を取られていることが分かりました。その空間で、腹の底まで響いてくる低音が、開演までの気持ちを高揚させてくれます。
受付業務を終えたレセプションスタッフが後方に空いている席に座ると、それまで場内に流れていた低温のBGMが止まり、一瞬の静寂がやってきました。そして、軽やかな「ボレロ」のテンポに切り替わり、いよいよショーの開演です。
ステージに一人の男性ダンサーが楽曲に合わせて登場しました。日本で唯一人「ボレロ」を踊ることを許された、東京バレエ団のプリンシパル・柄本弾が、力強いパフォーマンスでオープニングに彩りを添えました。そして、ショーのトップバッターは、10代から芦田多恵さんのショーに出演し続けている富永愛さん。真っ白なカシミヤのロングコートを閃かせ、女性のエレガンスと自立を感じさせるように颯爽と登場しました。全50ルックのランウェイには、冨永愛さんの他に、江原美希さん、福士リナさん、大平修蔵さんなどが登場しました。
タエアシダ30周年アニバーサリーショーの具体的なコレクションは【ファッションプレス】で是非ご覧ください。
ランウェイの最後は、デザイナーである芦田多恵さんから深々とお辞儀をして締め括りの時間を迎えます。全体のショーは30分程だったでしょうか。時間で聞くと短く思えますが、各所のプロが作り上げたショーは、とても心が満たされる充実の時間となりました。
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芦田多恵さんは、東日本大震災後直後に、被災地の避難所からブランドの広報誌を送ってほしいと言われたことが強く残っているおっしゃっています。「被災地の皆さんはこんなものを必要としているのだろうか」と恐る恐る送ったのだと言います。すると、とても喜ばれたというのです。感謝を伝えられ「ファッションは希望になることを、その時に初めて実感することができた」「コロナ禍においても同じことを感じている」とおっしゃっています。(毎日新聞インタビューより)
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ファッションは既に出来上がっているものは存在しません。人が魂を込めてデザイン画を描き、人が緻密な作業でパターンに起こし、人が色や糸を選び、人が丁寧に縫い織り上げています。美しく仕上がった洋服を人が纏い、コレクション発表に携る全ての人が伝えています。ファッションデザイナーを筆頭に、パタンナー、縫製スタッフ、イベントプロデューサー、音楽、モデル、運営スタッフ・・・、誰もがプロとして考えに考えて、ファッションと真摯に向き合い、シーズン毎のテーマを本気で伝えています。
そして、店舗スタッフも同じように、ブランドのアンバサダーとして、お店にご来店くださるお客様へ、ブランドに織り込まれた生地や縫製、シーズンテーマやメッセージまでを含めたブランドの魅力を一つずつ丁寧に伝え広げています。
この日、私Uは、ファッションや流行は、人が生み創り出すものであることを改めて実感させられました。ブランドに携わる人と人が共鳴し合い、それぞれのフィールドで最大限のエネルギーを発揮しているから、心躍る、感動する、素敵なファッションに出会えることができるのだと。
そして、 「ファッションが希望なる」という信念をもっている人いる限り、素晴らしいファッションは、これからも、生み出され伝えられ広がっていくのでしょう。
この会場には、新卒選考の一環として、23卒学生さんを8人招待されたのだそうです。選考となれば合否判定はあるでしょうが、コレクションのランウェイを目の当たりできる機会は、そうそうありませんから、かけがえのない経験になったことでしょう。こういった機会があれば、是非皆さんにもファッションの体現と魅力を全身で感じとってほしいと思います。
この先ファッション業界で仕事をし、発展させていこうと考える方に対して、素晴らしい機会を提供くださったジュンアシダ、タエアシダの人事の方へ、ファッション業界を支えている一部門として、BCJからは心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
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